ミステリー小説 おすすめ ５選！（赤川次郎 作品）＃3

「壁の花」克美はパーティー会場にいた。従姉の玲子に私の代わりに出てみないと「招待状」を、渡された。玲子は悪気がない、素直な気持ちで渡してくれたこの一枚の「招待状」その、パーティーで坂田と知り合った事から克美の人生は思いもよらない方向へ向かってしまう。学園ミステリー！克美は、玲子にマンションの留守番を頼まれた。ちがう環境に戸惑いながらも、坂田に惹かれていく。同じマンションの、坂田と知り合いの俳優宮川との出逢い。坂田の周りの人達の陰謀や嫉妬に翻弄されて、兄の正也までもが、捲き込まれてしまう。純真で真っ直ぐな克美は、残酷な酷い仕打ち、辱しめを受ける。しかし、克美の気持ちを理解し克美を守ろうと、救いの手を差しのべてくれる人達もいた。テンポ良い展開で一気読みでした。最後のパーティーの場面は予想外な展開で張りつめた空気、痛快でした。兄とのやり取りが、爽やかで人間の心の暖かさは赤川作品ですね！

小柄で可愛いが、年中問題を起こしている姉の高校生まどか。背が高くいささかクールな妹の中学生みゆき。ユニークな姉妹である。何回読み返しても楽しめる。９つの恋の物語。恋愛体質のまどかはいつも誰かに恋をしては、色々トラブルを起こし、みゆきが翻弄され、尻拭いに追われる恋愛ミステリー！恋のたびに色々事件に巻き込まれたりするが、二人のキャラクターで、甘く酸っぱいが、逞しく成長していく楽しいストーリー。1話1話が、全く違う展開で、飽きさせない、ラストは気持ち良く爽やかさ。まどかは、裏表がなく真っ直ぐに進んでいくタイプで、過ぎた事は忘れて前に進んでいく、羨ましい性格である。その反面いつも姉の行動をさっし、気を配っていく妹。大変だなと思いつつ、でもそれが姉妹の良いところなのだろうか？いつも赤川さんの作品には、真からの悪人はいないと思わされてしまう。暖かい人間性、赤川ワールド全開であっと言う間の一気読みでした。

同じ社宅の仲良し４人組。加奈子、友江、由起子、かおる。同じ大学に入学し、卒業旅行を約束していた。「倉庫のネズミ」社長から、スパイを命令された沢田。ある事情から断ることが出来ず、スパイになるしかなかった。会社社会、親達の思惑から仲の良かった家族達の運命が大きく翻弄されて行く、ミステリー。約束の日、それぞれの思惑を抱え４人は、約束の場所に集まる。病気で倒れた沢田は、自分のした事を振り返り、あらためて多くの人達を不幸にしまったと、自分を責めて少しでも何かの役にたてないかと考える。殺人事件が起こるが、赤川さんだけあって、たとえ犯人と言えども、ただの悪ではなく心の闇を抱えている人物。そして、卒業旅行での衝撃な事件。衝撃な意外な事実が判明する。心の描写が丁寧で、内容が詰まっているが、テンポ良く展開していくので、軽く一気読みです！ラスト「クスッ」と笑える、微笑ましいシーンで、暖かい気持ちになりました。

辛い過去を心の奥深い所に閉じ込めてしまった「さつき」転校初日、道に迷ってしまったさつきは、畑山に助けられる。それぞれに心に深い傷を持つ二人には、通じるものがあった。学園ミステリー！陸上部のエース畑山、畑山を慕う陸上部のエース水田、体育教師の中本、教師仲間の涼子、倉沢、さつきの両親。さつきが転校してきたことによって、予想もしなかった方向へ事件が動き出していく。過去を思い出せなくても、毅然と正義を貫くさつきの態度に、畑山や涼子達も変わっていく。さつきも、辛い過去の出来事から、目をそらさず対峙し、少しずつ変わっていく。学校内の力関係や、人間の醜い部分も認めつつ、正しくあろうとする気持ち。本当に丁寧に人間描写している。憐れな事件や哀しい事故など、やりきれない想いもあるが、いつも赤川作品を読んでいると、登場人物が形を持って映画を観ているようだ。ラストはやっぱり爽やかでした。

「風と共に去りぬ」じゃなく(笑)。工藤ちづるは、遺産目当てで努と付き合っていたが、叔父、黒崎から財産は遺さないと宣言されてしまった。お金がない努には興味がないと、黒崎の殺人計画をたてる。自分と母を捨てた父。父の愛人五月。五月の同級生佐々木。叔父の愛人綾子。黒崎の家政婦。などなど複雑な人間関係、複雑な人間模様により計画外の事件に捲き込れ、想定外の方向に向かってしまう。いくえにも、絡まった人間模様。財産目当ての恋愛、偽装結婚、妻のプライド、組織の「長」としてのプライド、哀しく残酷な殺人事件、人間の欲深さが渦巻く長編サスペンスミステリー。心理描写が丁寧で、次々展開するテンポ良いストーリーで一気に読まずにはいられない。赤川ワールドでどこか憎めないキャラクター達。悪の内にも闇や愛情がある。最後の最後まで、気が抜けない愛憎。ラストは予想外で驚きの展開だったが、流石に暖かい気持ちで読み終えた。